2.山地河川の流況と流域条件との関係解析 : II.流域地質が流況に及ぼす影響
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概要
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全国にわたって分布する163山地河川の資料を用い, 流況曲線から得られる流況因子を流域の地質分類ごとに求め, 流域地質が流況に及ぼす影響について検討した。得られた結果をまとめると次のようである。1)流域の積雪が流出に影響を及ぼしていることを考慮し, 夏期の6月〜10月間の流出量と積雪・融雪時期の11月〜5月間の流出量の比較, および融雪流出の有無から, 非積雪地帯の流域と積雪地帯の流域を分類した(Fig.1)。2)流域の地質分類は, 表層地質に着眼し, 第四紀火山岩類・第三紀火山岩類・花崗岩類・第三紀層・中生層・古生層および変成岩類の7分類で行った(Fig.3)。3)流況を表す指標値として用いられている渇水流量・(豊水流量-渇水流量)および(豊水流量/渇水流量)と年降水量の関係を非積雪地帯の流域について地質分類ごとに検討した(Fig.4〜6)。4)流況を表す指標値として提案された非調節流出量および調節流出量について非積雪地帯の流域について地質分類ごとに検討した。同時に, 積雪地帯および非積雪地帯を同等に検討し得るように6月〜10月間のデータから求めた非調節流出量および調節流出量についても検討した(Fig.7〜11)。5)流況と流域地質との関係が解析された。その結果, 流域の水源間涵養機能は, 第四紀火山岩類の流域において非常に高く, 次いで花工崗岩類・第三紀火山岩類および第三紀層の流域が高く, 古生層および変成岩類の流域がこれらに次ぎ, 中生層の流域で低いという結果が得られた。6)今後, 流況に及ぼす流域の地形・土壌・植生などの影響について検討が必要である。
- 鹿児島大学の論文
- 1987-03-20
著者
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