冠動脈バイパス術後に発症したコレステロール塞栓症の1例
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概要
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症例は65歳,男性.左冠動脈主幹部と右冠動脈の高度狭窄による不安定狭心症により,冠動脈バイパス術(3枝)を施行した.術後冠動脈造影検査を施行したのち,急な発熱と両側足底の斑状チアノーゼおよび急性腎不全を発症した.足底チアノーゼ部分の全層皮膚生検を施行した結果,cholesterol cleftを伴う肉芽性炎症変化による細動脈の閉塞の所見が得られた.Cholesterol crystal embolism(CCE)の診断で,ステロイドパルス療法を施行した.これにより,末梢循環不全,急性腎不全は徐々に改善し,入院時より併存していた腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術を施行したのち,軽快退院した.心臓血管外科領域の治療においては,CCEの誘因が多数存在する.CCEの病態を理解し,早期診断,治療にあたることが,CCEの予後改善に寄与すると考えられた.
- 特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会の論文
- 2006-11-15
著者
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折田 博之
済生会山形済生病院
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折田 博之
山形済生病院心臓血管外科
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外田 洋孝
済生会山形済生病院心臓血管外科
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小肥 実
済生会山形済生病院心臓血管外科
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広岡 茂樹
済生会山形済生病院心臓血管外科
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外田 洋孝
恩賜財団済生会山形済生病院心臓血管外科
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