水道水およびその調理品の風味に及ぼす浄水器の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
試作浄水器を用いて水道水の水質および調理品の風味改善の現象およびその原因を考察した。水道水および浄水器処理水(浄水)について、水そのもの、かつおだし、煎茶、紅茶、コーヒー、米飯について水質成分分析と官能検査を行い比較した。その結果、水の水質に大きな差が認められたのは、残留塩素と、過マンガン酸カリウム消費量とTOC (Total organic carbon)量で示される有機物の2種であり、いずれも浄水では除去されていた。しかも水道水の残留塩素は3分沸騰することによりほぼ完全に除去出来たので、沸騰した水道水と浄水の間で成分の差が認められたのは分析した項目に限っては有機物だけであった。これより沸騰後の水を用いる煎茶等の風味の改良は、有機物の除去が大きな原因であると考えられた。そこで、水道水中の有機物の存在が感覚に直接影響を与えているのか、または抽出力に影響をあたえているための差であるのかについて両方面から検討した。感覚への影響については、5原味について主観的等価値の測定を行った結果、甘味、酸味、苦味で有機物音量の少ない浄水の方が、味に対する感度が高いことが証明された。甘味、酸味、苦味を、浄水では感じやすくなるので、茶やコーヒーが苦く酸っぱく感じられた。水道水に音まれる有機物が感覚へのマスク効果を有していることが証明された。一方、抽出力に関しては煎茶、紅茶中のタンニン、かつおだし中の全窒素、コーヒー中のカフェイン、クロロゲン酸音量を測定した結果、いずれにも水道水と浄水での差は認められなかったが、抽出時間の調整により30%除去と70%除去の浄水の煎茶、紅茶の味が同じに調整されたことから抽出力にも影響があることが考えられる。色調にも影響していて浄水のほうがきれいな赤色が紅茶で認められた。分析値では差が認められないが、微量の成分の差が官能検査では感知出来たと考えて良いであろう。良くも悪くも有機物の除去された浄水では、本来の味を感じやすくなるといえるであろう。
- 大手前大学・大手前短期大学の論文
著者
関連論文
- 電気陶器鍋の調理特性について(第2報)
- 高校生の骨量と生活習慣との関連性
- 食事摂取状況からみた社会人学生の特徴
- 食事摂取状況からみた社会人学生の特徴 (創刊記念合併号)
- 夕食材料宅配についての実態調査
- 市販ハム、ソーセージ中の亜硝酸塩含有量
- 水道水およびその調理品の風味に及ぼす浄水器の影響
- 本学学生の過去10年間における外食状況の推移
- アミラーゼ生産能を有するMicrococcus属細菌の単離
- 浄水器使用調理品の嗜好について
- 本学学生の食行動の実態と,健康および生活環境との関連性について
- 女子学生の生活活動ならびに食物摂取状況について : 2.外食状況との関連性
- 女子学生の生活活動ならびに食物摂取状況について : 1.健康状態との関連性
- 女性の食生活と衣生活における消費実態と意識
- きり干し大根の着色について(予報)
- 電気陶器鍋の調理特性について(第1報)
- 切干し大根の褐変に及ぼす加工と貯蔵の影響
- 加熱魚の香気に関する研究(ノ-ト)
- 料理実態調査における調査サンプル数と出現料理種類数との関係--高校生,短大生の夕食献立調査(1967〜1979東京・大阪)
- 料理実態調査における調査サンプル数と出現料理種類数との関係--高校生,短大生の夕食献立調査(1967〜1979東京・大阪)