幾何学的形態に対する視覚誘発電位 : 空間的定位の効果(3)
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概要
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空間的定位がオンセット視覚誘発電位(VEP)に及ぼす効果の一環として,長さの等しい5種の輪郭線の幾何学的図形が注視点の上方0.5°と1.5°の位置(上方視野:UVF)に両眼視で提示された.図形は正三角形(三角形),倒立正三角形(倒立三角形),正方形(正方形),45°傾いた正方形(菱形),それに円形であった.12名の被験者を対象に一過性VEPが頭頂隆起部(I),それより上方5,10,15cm(I10,I10,I15cm)から基準導出された.図形条件とブランク(対照)条件との総平均差波形が記録された.下方視野(LVF)のネガティブ(N1)波の極性が反転した,ポジティブ(P)波が取得された.その頂点潜時は約130msであった.2要因ANOVA(位置2,図形5)が振幅と潜時に対して行われた.主要な結果は次の様であった.位置I5でのP振幅に関して,0.5°と1.5°ともに倒立三角形,菱形>正方形が有意傾向にあった.倒立三角形の振幅が三角形より大きいということはなかった.総じて,1.5°よりも0.5°の方が明瞭な振幅の差異が見られた.P波の頂点潜時に関しては,図形間に差異はなかった.他のVEP成分に関しても有意な結果は得られなかった.かくして,本実験結果は,UVFにおけるP振幅のデータはLVFのN1データに類似しているが,それほど顕著なものではないことを示している.
- 2006-03-10
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