便失禁患者における外肛門括約筋筋電図を使用したバイオフィードバック訓練における評価法の検討

概要

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バイオフィードバック(以下BF)療法を用いた肛門機能回復訓練において,外肛門括約筋複合筋電図(以下CEMG)を使用した訓練前後の評価を試みたので報告する.<対象>便失禁患者で3ヶ月間CEMG法によるBF訓練を行った21例とした.訓練前後で便もれの症状(Wexner分類)と各検査値を比較検討した.検査値の比較は肛門内圧とCEMGで行った.<結果>CEMGによるBF訓練は,内圧法では判りにくかった肛門に限局した動きを捉え,肛門の締め方を適格に指導することができた.3ヶ月のBF訓練でWexnerのスコアは有意な改善を認めた.肛門管長(LAC),静止圧(MRP),随意圧(MSP),MSP/MRPは,訓練前後で有意差を認めなかったが,CEMGの収縮時筋電位積分値/静止時筋電位積分値(CEMG-S/R)は,訓練前後で有意に上昇し,症状の改善した症例に,CEMG-S/Rの上昇症例を多く認めた.また,CEMGによる持続力分析では,症状の改善した症例に持続力上昇症例を多く認めた.<考察>BF訓練,及び訓練の効果を調べる検査において,CEMGは,肛門に限局した肛門収縮機能を表し,訓練の効果を客観的検査値で表すことができる有用な検査法であると考えられた.
日本バイオフィードバック学会の論文
2006-08-25