母児間スキンシップが母児相互に及ぼす生理・心理的影響

概要

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母と子の絆がどのように作られていくのか,その形成メカニズムを明らかにするために,今回,母親が児を抱っこし,見つめたり話しかけたりすることの母児相互に及ぼす生理・心理的影響について検討し,以下のことが明らかになった。1.母親がわが児を抱き,「話しかける」ことによって,母親の心拍数は安静時に比較して有意に上昇し,CV_<R-R>値は有意に低下した。児の反応をみると母親の「話しかける」ことによってCV_<R-R>値は有意に上昇した。2.対照である女子学生の場合,児を抱き「話しかける」ことによって,女子学生のCV_<R-R>値は安静時に比較して有意に低下した。児の反応をみると,女子学生の「話しかける」ことによる心拍数やCV_<R-R>値の変化は認められなかった。3.対児感情の変化をみると,母親の場合,接近感情は実験前に比較して実験後に有意に上昇したが,女子学生では対児感情の変化に明確な差は認められなかった。以上,児を抱っこし,「話しかける」という一連の母児間スキンシップは,母親に接近感情を誘導し,児には精神的安定をもたらしていることから,母と子の絆を高めていくためには,児を「抱っこ」して「話しかける」ことの重要性が示唆された。
日本母性衛生学会の論文