皮膚表面温度からみた産褥早期の乳房マッサージによる自律神経への作用

概要

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本研究では,産褥早期の褥婦を対象に皮膚表面温度からみた乳房マッサージによる自律神経への作用について検討することを目的とした。対象者は,経腟分娩をされ,正常に経過している産褥3〜5日目の褥婦で,13人を対象に,1回あるいは数回測定をし,延べ人数は21名であった。赤外線放射温度計サーモトレーサーを用いて,起座位にして乳房マッサージ前,1,3,5分後に額中央部と示指尖部の皮膚表面温度を測定した。乳房マッサージは技術に差が出ないように1人の助産師が行った。以下のような結果が得られた。1.乳房マッサージ後,額中央部と示指尖部の皮膚表面温度が有意に上昇した。2.示指尖部温で,乳房マッサージ実施前に33℃以上あった者6人ともが,1分後に下降した。3.示指尖部温は,産褥3日目では実施前の低値から急激に上昇する反応,4日目では低反応,5日目では実施前より1分後は若干下降する反応が観察された。以上より,乳房マッサージは,乳房内うっ血を改善させ,交感神経機能の活動が低下したことから,副交感神経機能が優位の状態にあることが示唆された。
日本母性衛生学会の論文