1ヵ月の乳児をもつ母親の健康感と対児感情に関する検討

概要

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月齢1ヵ月の乳児をもつ母親の健康感と出産体験との関連など心理的状況を明らかにすることを目的に,産後健診に来院した母親581名を対象に質問紙による調査と対児感情評定尺度を用いて検討し以下の結果を得た。1)出産体験で「肯定感情」をもつ者は,初産婦35.8%,経産婦50.6%で経産婦のほうが多かった。対児感情は,接近得点で初経産婦別に差はなく,回避得点は初産婦に有意に高かった。2)母親の健康感では,「良好である」が約3割であったが,睡眠不足と腰痛,肩こりを自覚する者が多く,出産体験が「肯定感情」の場合には,健康感で「良好である」者が有意に多かった。3)育児や児に関する心配事は,初産婦の9割が「不安がある」「少し不安がある」と回答して,経産婦に比べて有意に多かった。対児感情は,「不安なし」の者の回避得点が有意に低かった。以上の結果をふまえた助産師の支援として,周産期の全期間を通して出産体験を肯定的に受けとめることができるような働きかけが必要である。また,育児経験のない初産婦へ心身の健康を保持できるように産褥早期から配慮し,母親が抱く不安について表出を気軽にできるように接していくことが重要である。
日本母性衛生学会の論文