他者との関連における"自己" : 幼児の対人行動に関して
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概要
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本研究の目的は,幼児前期の家庭保育児が家族集団外の幼児と接触する際の対人行動について,その行動パターンを分析することである。そのため,A男(3:1)・B子(2:11)・C男(1:8)の3名を対象として自然事態における観察を行った。おもな結果はつぎの通りである。I.対人行動の分類他者に対する自己の行動について,方向的側面と内容的側面の2つの側面から分類した。1.行動の方向的側面から1)直接的能動行動(自己から他者への行動)(1)他者に向う行動(自→他)(2)他者と物との関係に向う観察行動(自→他→X)(3)他者と第三者との関係に向う観察行動(自→他↔三)2)直接的受動行動(他者から働きかけがなされた際の自己の行動)(1)他者に向う行動(他→自→他)(2)自己に向う行動(他→自→自)3)間接的能動行動(他者に関連したことについての自己の行動)(1)第三者に向う行動(自→三)(2)物に向う行動(自→X)4)間接的受動行動("他者に関連した働きかけ"が第三者からなされた際の自己の行動)(1)第三者に向う行動(三→自→三)(2)自己に向う行動(三→自→自)2.行動の内容的側面から1)友好・受容的行動(促進行動,受容的応答等;+)2)中性的行動(注目,無反応等;0)3)非友好・拒否的行動(制止行動,拒否的応答等;-)II.対人行動の検討分類基準に基づいて,観察内容の適用と過去経験の適用という2つの観点から対人行動の検討を試みた。1.自己の行動に対する観察内容の適用から1)C男(自己)の行動展開について他者(A男)が物をどのように扱っているかということを観察して(直接的能動行動),物との新しい関係を自己において実現した。2)C男に対するA男(自己)の行動展開について第三者(B子)が他者(C男)とどのようなかかわり合いをもっているかということを観察して,自己が他者に対する間接的能動行動を経ながら,第三者の対人関係様式を直接的能動行動として実現した。2.自己の行動に対する過去経験の適用から1)A男(自己)の直接的能動行動についてA男の他者(B子・C男)に対する非友好・拒否的な直接的能動行動は,過去のA男に対する祖母の行動を適用したものであり,また,A男の他者(B子)に対する友好・受容的な直接的能動行動は,過去のA男に対する父の行動を適用したものであった。2)B子(自己)の直接的受動行動についてB子の他者(A男)に対する友好・受容的な直接的受動行動は,過去のB子に対する母の行動を適用したものであった。
- 1981-03-31
著者
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