他者との関連における"自己" : 幼児に認められる示範効果の相違に関して
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概要
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本研究の目的は、自らの内部基準に基づく行動をとる"自己"が"他者"の行動的次元における示範を観察することにより、個人間に認められた行動的側面と認知的側面の2つの面に対する示範効果の相違について検討することである。そのため、"自己"の行動傾向と"自己"に対する養育態度の2つの側面から、「一致変容群」、「一致不変群」、「行動変容群」、「認知変容群」の4つの類型について検討した。保育所児116名を対象として、太郎・花子テストを行動傾向の測度とし、田研・両親態度診断検査母親用を養育態度の測度として実施した。おもな結果はつぎのとおりである。1.「一致変容群」、「一致不変群」、「行動変容群」、「認知変容群」の類型差を行動傾向の側面からつぎのように説明できる。1)類型内における行動傾向の側面からa.「行動変容群」において、「反抗的-従順」尺度値が、「独立-依存」尺度や「活動性大-活動性小」尺度値より高い。b.「認知変容群」において、「活動性大-活動性小」尺変値が「独立-依存」尺度値より高い。c.「一致不変群」において、個体差が認められる。2)類型間における行動傾向の側面からa.「活動性大-活動性小」尺度において、「認知変容群」が「行動変容群」や「一致変容群」より高い。b.「反抗的-従順」尺度において、「行動変容群」が「一致変容群」より高い。2.養育態度の側面においては、統計的な有意差が認められなかったため、類型差を説明することは困難である。しかし、態度得点の質的な分析からつぎの補足的結果を得た。1)「矛盾」項目において、「一致不変群」の母親は中間地帯に属するが、他の類型は安全地帯に属する。2)「厳格」項目において、「認知変容群」の母親は中間地帯に属するが、他の類型は安全地帯に属する。
- 1978-03-28
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