他者との関連における"自己" : 幼児の行動的側面と認知的側面の変容に関して
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概要
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本研究の目的は,自らの内部基準に規定された行動をとる"自己"が,"他者"の行動を観察することによりどのような影響を受けるかについて検討することである。そのため,二者関係の観察学習事態を設定して,行動的側面と認知的側面の2つの側面から"行動上の類似性をもつ他者"の示範効果について検討した。保育所児116名を対象として,色紙選択テストを認知的側面の測度とし,玉入れテストを行動的側面の測度として,同一個人においてA条件(黒・赤)とB条件(赤・黄)の2条件で実施した。おもな結果はつぎのとおりである。1.行動的側面における示範効果について"行動上の類似性をもっ他者"の場合,行動的側面においては示範方向に一致させる方向で"自己"の行動を変容させる。2.認知的側面における示範効果について認知的側面においては示範方向に一致した方向で"自己"の認知を必ずしも変容させるとはいえない。3.行動的側面と認知的側面の関連個人内における2側面の関連については,2側面をともに示範方向に一致させて変容させる「一致変容群」の個人が認められる一方,行動的側面の変容のみにとどめて認知的側面は変容させない「行動変容群」の個人も多数認められる。4.生活年齢差,性差による示範効果の相違はいずれの側面でも認められない。
- 1977-03-31
著者
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