タイ産食用カタツムリ Hemiplecta distincta (Pfeiffer) の繁殖生態
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概要
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タイに生息する食用カタツムリHemiplecta distincta (Pfeiffer)の繁殖生態を調べた。本種は食植性であるが, 土粒や他のカタツムリの殻をも摂食する。本種の繁殖期を明らかにするために1984年10月から1986年9月までの2年間, タイのパクチョン地方で毎月3回サンプリングを行い, 切片標本を作って生殖巣の発達状態を調べた。その結果, このカタツムリは, 年に1回繁殖することが分かった。繁殖は乾期の後半から雨期の始めにかけて行われ, その最盛期は乾期の終りに近い6∿8月に見られた。稚貝の摂食には湿度が必要なため, 雨期の湿気が繁殖期を決定する要因になっているものと考えられた。カタツムリの体内で卵形成は, 1年中継続している一方, 精子形成は年に1度限られた期間に見られた。産下卵は17.3±3.27日(N=144)で孵化し, その際稚貝は卵殻を喰いつくすのが観察された。
- 日本貝類学会の論文
- 1987-04-30
著者
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