内湾における副振動の発生と有明海の潮汐増幅について : 複合潮の振舞いと固有振動との共振
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
有明海の潮汐の振舞いを明らかにすることを目的に,潮汐の増幅率と湾長の関係を基本的な矩形湾を用いて解析した。そして,有明海のM_2潮の潮位振幅や大浦と長崎の振幅比で定義した増幅率,さらに,その他の半日周期成分や日周潮成分などの主要潮汐の経年変動を解析した。それによると,有明海大浦のM_2潮の振幅は1998年前後に目立った減少を示したが,この原因は有明海内部にあるのではなく,外部の長崎の振幅も同様に減少していることが示された。また,潮汐の増幅に関わる固有振動を明らかにするために,有明海やその他の国内の主要な内湾の副振動の挙動を調和解析の精度を上げて詳細に研究した。それによると,各海域の固有振動は原潮汐の倍潮と複合潮に共振する形で表れ,半日周潮汐周辺には固有振動と共振する複合潮はなく,原潮汐に共振する複合潮が認められた。また,矩形湾の潮汐の解析や潮汐データの調和解析結果から,有明海の主要な固有振動周期は8.3時間周辺にあると推測される。
- 日本海洋学会の論文
- 2006-07-05
著者
関連論文
- 吹送流が形成するEkman螺旋とEkman輸送に関する考察
- 有明海の潮汐に及ぼす諌早堤防の影響について : コメントへの回答と回答者からのコメント
- 周防灘豊前海における溶存酸素変動と海洋構造について--2005年夏季の15日間定点係留観測から
- 慣性流や海陸風による吹送流の算出に関する試み--沿岸域で定点測定した15日間データの活用
- 内湾における副振動の発生と有明海の潮汐増幅について : 複合潮の振舞いと固有振動との共振
- Tidal Basinにおける分散係数について--瀬戸内海を例として--振動流による物質分散の重要性
- 有明海西部海域における高濁度層の観測と懸濁物質による酸素消費の実験
- 有明海北部海域の物理的環境特性--淡水流入に伴う潮流・濁度・溶存酸素の変動と有明海の副振動
- Analytical Study of Longitudinal Mass Flux Due to the Shear Effect in a Tidal Basin
- 発達期の吹送流に引き起こされる表層浮遊物質の分散に関する解析法
- 赤潮プランクトンの発生・消滅に関する物理的考察--表層物質に及ぼす海洋乱流拡散と吹送流による初期分散の解析
- 瀬戸内海周防灘西部海域における流れと濁度の変動 : 貧酸素水塊の形成に関する一仮説
- 沿岸海域の物質分散に関する考察
- 小規模養殖場の環境変動と養殖場の斃死率
- 潮汐残差流生成に関わるコリオリ効果 : 瀬戸内海の数値モデルと解析解からの考察(海洋・海域(1),一般講演)
- 慣性流や海陸風による吹送流の算出に関する試み
- idal Basinにおける分散係数について
- 周防灘豊前海における溶存酸素変動と海洋構造について--2005年夏季の15日間定点係留観測から