慣性流や海陸風による吹送流の算出に関する試み
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概要
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潮汐現象が顕著な国内の沿岸海域においては、一般的に主要4分潮(O1、K1、M2、S2潮成分)に引き起こされる潮流が卓越しているとして、それらを分析するために定点で15日間の潮流観測をすることが多い。5番目に大きい分潮としてN2潮成分を取り上げることもあるが、通常の調和解析では、15日間のデータからN2潮成分を取り出すことは困難で、N2潮の大きさを知るためには少なくとも30日間の観測が必要であるとされている。本研究の調和解析の主な目的は、実用的な予報値を導き出すことではなく、沿岸海域の流れのメカニズムを明らかにすることにあることにある。本報では、N2潮も主要4分潮と同様に調和常数(振幅と位相)を求める対象として、海上保安庁方式とは別な手法によって、15日間の潮流データからN2潮成分を導き出す方法を提示し、その精度と15日間データから導かれた主要4分潮の精度についても改めて検討をする。また、この手法の検討・考察を基に、これまで沿岸海域ではあまり対象とされることのなかった慣性流を導き出しその精度と振舞いを考察する。さらに、この手法を応用して、これまで現地データからはほとんど検討されることのなかった海陸風に起因する吹送流の分析を行い、その整合性についても検討を加える。
- 2007-11-00
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