瀬戸内海周防灘西部海域における流れと濁度の変動 : 貧酸素水塊の形成に関する一仮説
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概要
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周防灘西部海域での貧酸素水塊の形成過程を調べる目的で,1998年夏に広域観測と25時間定点観測を行った。観測海域のほぼ全域で強い水温・塩分躍層がみられ,躍層下の底層水は上層の海水よりも低温,高塩分,低酸素,高濁度,高クロロフィル濃度であった。上層の濁度は半日周期で変動していたのに対し,底層では6時間周期の変動を示していた。上層での濁度の変動は,濁度の分布と流れの様子から,M_2潮流成分による移流が原因と分かった。一方,底層での6時間周期の変動は,M_2潮流による堆積物の再懸濁によるものと考えられる。比較的強い流れが存在するにもかかわらず,期間を通して水温・塩分躍層が維持されていたことから,外洋系の低温・高塩分水の底層への活発な流入が示唆された。以上の結果に基づき,底層で周期的に起こる高濁度状態が,外洋系の酸素に富む水塊を周防灘底層の貧酸素水塊に変質させるという仮説を提出した。
- 日本海洋学会の論文
- 2002-03-05
著者
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