知床半島におけるダム : 環境の保全と河川管理上の諸問題
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概要
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知床半島において,ダムの設置との関係で河川環境の状況を調査した.魚類の移動障害となりうるダムや床固等の一覧を作成し,2003年3月までのダム設置の実態を明らかにした.少なくとも331基のダム等が同半島に設置されていた.ダム等が設置されている河川の割合は半島全体で42.9%にのぼる.設置されているダムは,山地の保全や土砂災害を防止するために設けられる治山ダムと砂防ダムがほとんどであり,洪水調節や農業用水の取水を目的としたダムは確認されなかった.ダムの数は流域の地形や土地利用状況によりさまざまであり,ひじょうに集中的に配置されている河川もある.最初にダムが設置されたのは1960年代初頭で,1980年代にもっとも盛んに設置された(年平均約10.5基).現在はダムの設置数は減少しているが,2000年以降も年間7基以上が造られている.これに対して魚道の数は全部で66に過ぎない.ダム建設時に魚道が本格的に併設されるのは2000年以降である.魚道の管理状態は悪く,総体として知床半島における魚類および河川環境の保護は不適切かつ不十分な状態であった.
- 2005-12-25
著者
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桑原 禎知
鯤
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山中 正実
斜里町知床自然センター管理事務所
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山中 正実
斜里町役場環境保全課
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山中 正実
知床自然センター
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山中 正実
知床財団
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山中 正実
知床財団事務局
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高橋 剛一郎
富山県立大学短期大学部
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山中 正実
(財)知床財団
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山中 正実
自然トピアしれとこ管理財団
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Yamanaka Masami
Shiretoko National Park Nature Center
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Yamanaka Masami
Division Of Environmental Conservation Shari Town Office
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高橋 剛一郎
富山県大
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高橋 剛一郎
富山県立大学短期大学部環境システム工学科
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高橋 剛一郎
富山県立大学工学部
-
高橋 剛一郎
富山県立大学工学部環境工学科
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高橋 剛一郎
富山県立大
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