河川環境の回復・保全に関する考察 : 2:神通川水系野積川の事例について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
富山県中央部に位置する野積川(神通川水系井田川支流)本流を対象に,河川工作物による環境改変の状況を調査し,環境回復・保全に関する検討を行なった.井田川合流点から13.4kmの区間に合計23基の河川横断工作物が設置されている.これらのうち,下流の11基は0.2〜3.5mと低落差である.これより上流の工作物はほとんどが5m以上の落差を持つものである.最下流に位置する4つの工作物には魚道が設置されている.魚類の遡上の可能性という点では,魚道を持っている工作物を含め,布谷帯工と島地用水頭首工を除いて,遡上が不可能,あるいはきわめて困難なものである.魚類の生息環境面での評価では,堰堤による生息域の分断がもっとも深刻な影響を与えており,河道の改修などによる悪影響は比較的少ない.当面の環境回復では,下流側の低落差の工作物を対象に最下流から順に魚道の改修や新設,堰堤そのものの構造の変更や撤去などの対策を検討し,実行することが必要である.
- 2004-03-31
著者
関連論文
- 富山県立大学水田跡地のビオトープに関する調査・研究-3:ビオトープと周辺の哺乳動物-
- 富山県立大学水田跡地ビオトープに関する調査・研究-2:ビオトープ化初期の昆虫相-
- 富山県立大学水田跡地のビオトープに関する調査・研究-1:ビオトープ化初期の植生と植物相-
- 知床半島における河川の自然環境の保全とダム問題に関する意見
- 知床半島におけるダム : 環境の保全と河川管理上の諸問題
- 河川環境の回復・保全に関する考察 : 2:神通川水系野積川の事例について
- 治山治水--水と森林と土砂をめぐって
- 河川環境の回復・保全に関する考察 : 1:有峰湖に流入する渓流の事例について
- 瀬-淵構造の区分とその分析方法
- 渓流環境の基本構造と保全
- 魚道の評価をめぐって
- 渓流魚からみた河川 (特集 川はよみがえるか)
- 北海道北部蛇紋岩地帯溪流における氾らん原上の流路形状の分布に及ぼす土砂移動の影響
- 河川中洲上の植生・微地形・堆積物の相互作用 (河川の侵食・堆積環境と生物の棲み場所構造の関係)
- 砂防事業と環境アセスメント
- 渓流魚と砂防工事
- シリーズ『環境と調和した砂防を考える』-1 : 環境, 特に生態系と調和した砂防の基本的考え方-本シリーズを連載するにあたって-
- 瀬一淵構造を中心とした河道の構造と生物の生息環境の関係-平成7年度砂防学会ワークショップ成果概要報告-
- 人工産卵河川におけるイワナの産卵と当歳魚の動態
- 低ダム群工法の魚道機能に関する研究
- 渓流環境の復元を目的に加えた治山事業の計画と施工 : 茂倉沢における試み