土壌の酸性改良とアブラナ科野菜の連作が根こぶ病の発病および休眠胞子密度に及ぼす影響

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転炉スラグによる土壌の酸性改良とアブラナ科野菜の連作が根こぶ病の発病および土壌中の休眠胞子密度に及ぼす影響を明らかにする目的でチンゲンサイおよび葉ダイコンを用いたポット栽培試験を行った。その結果,酸性無改良区ではチンゲンサイに著しい発病が認められた。収穫直後の休眠胞子密度は低下したが,罹病根の鋤込みにより増加した。一方,酸性改良区ではチンゲンサイを連作しても根こぶ病の発病が著しく抑制された。また,連作を重ねるほど土壌中の休眠胞子密度が低下した。これらの結果は筆者らがすでに報告している圃場栽培試験結果とよく一致した。従来から,土壌酸性改良により根こぶ病の発病が抑制されるメカニズムは休眠胞子の発芽遅延あるいは抑制によるとされてきた。しかし,高pH条件下でチンゲンサイを栽培しても休眠胞子密度が低下したことにより,そのメカニズムは土壌中で休眠胞子の発芽により生成した一次遊走子の根毛への感染抑制,あるいは根毛に感染した以降に生じる何らかの現象に原因すると推察される。これまで罹病性アブラナ科野菜の連作を行わないことが基本的な根こぶ病の防除対策のひとつとされてきたが,転炉スラグなどを用いて土壌pHを十分に高めることができれば,罹病性アブラナ科野菜であっても連作が休眠胞子密度を低下させる一手段となり得る。
社団法人日本土壌肥料学会の論文
2005-12-05

土壌の酸性改良とアブラナ科野菜の連作が根こぶ病の発病および休眠胞子密度に及ぼす影響

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