アブラナ科野菜根こぶ病発生地域における土壌理化学性および休眠胞子密度と発病の関係

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アブラナ科野菜根こぶ病を総合的に防除する一環として,根こぶ病が多発する4地域の193圃場において土壌診断調査と土壌中の休眠胞子密度の測定を行った.その結果,各地域における土壌中の休眠胞子密度の平均は1.4×10^5〜3.4×10^5g^<-1>で著しい地域間差は認められなかった.群馬県嬬恋村では土壌pHは低かったが,表土が厚く根域が広いため発病しても著しい被害を被っていなかった.東京都三鷹市では圃場の土壌pHの違いにより根こぶ病の発病程度が著しく相違した.水田裏作でハクサイを栽培する兵庫県三原町では土壌水分が多いため,土壌pHを7以上に高めても発病を抑制することはできなかった.長野県南佐久郡野辺山地区では休眠胞子密度は最も高かったが,土壌のpH(H_2O)が高かったため,著しく発病した圃場は見られなかったと推察される.ロータリー耕を主体とする三鷹市,三原町,野辺山地区では下層がち密化し,下層中に休眠胞子を検出することはできなかった.また,表層土中には大量の可給態リン酸の蓄積が認められた.一方,プラウ耕を励行する嬬恋村では他地域より土壌養分が少なく,物理性が良好であった.ただし,下層にも休眠胞子が検出された.以上のように,4地域の作土中における休眠胞子密度はほぼ同等であったが,土壌理化学性の相違により根こぶ病の発病程度が著しく異なることが明らかになった.また,本調査により土壌のpH(H_2O)を7以上,休眠胞子密度を10^4g^<-1>以下とすることが,根こぶ病対策にとって最低限の必要条件であることが確認できた.
2003-12-05

アブラナ科野菜根こぶ病発生地域における土壌理化学性および休眠胞子密度と発病の関係

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