咬合崩壊を伴う重度の成人性歯周炎症例の長期臨床経過

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咬合崩壊を伴う重度な成人性歯周炎症例の長期臨床経過を報告する。特記すべき全身既往歴のない47歳男性が,1984年8月上顎臼歯部の歯肉腫脹を主訴に訪れた。歯周診査により,全顎的に歯周支持組織の破壊が進行しており,歯の病的移動による咬合崩壊を伴った空隙,叢生歯列を呈していた。重度な成人性歯周炎の診断のもとに,歯周初期治療を開始した。歯周初期治療後,残存する歯周ポケットに対してフラップオペレーションを行い,その際,上顎両側第1,第2大臼歯,第2小臼歯,下顎左側第2小臼歯は抜歯に至った。上顎臼歯部にバイトプレーンを装着し,空隙,叢生歯列改善のため,矯正治療を行った。動的矯正治療1年後,上顎前歯部は舌面板,下顎前歯部は接着性ブリッジにより保定,固定を行った。上顎臼歯部は,部分床義歯を装着し,審美的,機能的咬合位を確立した。その後,メインテナンスケアーを行い,初診より約12年経過してきている。なお,メインテナンス中に2歯を喪失し,再補綴を行っている。プロービングデプスおよび歯槽骨吸収率の平均は,初診時それぞれ4.1mm,63.8%から2.6mm,45.9%に改善されている。アタッチメントレベルは,1989年より6.0mmから6.5mmのレベルで安定している。以上の治療経過から,咬合崩壊を伴う重度な成人性歯周炎症例に対する包括的な治療により,高度に喪失した歯周組織破壊の進行を抑制する可能性が示唆された。
特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
1996-12-28

咬合崩壊を伴う重度の成人性歯周炎症例の長期臨床経過

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