「心配性」の実証的一考察
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概要
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本稿は,心配性についての実証的な一考察である。心配性を一つの個人特性としてとらえ,心配性者の実態を明らかにすることをめざした。研究Iでは,調査法により,意識的側面から心配および心配性の実態に迫った。得られた多くの結果のうちの幾つかを挙げれば,次の通りである。(1)子ども・青年の心配ごとの最頻内容は,勉強や成績にかかわることである。(2)最も心が安らぐのは眠る時である,という回答が最頻である。(3)青年の65%強は,心配性であると回答する。(4)そのうち心配性の矯正を希望する者は,60〜80%である。(5)心配性者の精神生活は,よりストレスフルである。(6)矯正希望心配性者は,非希望心配性者に比し,より心配により苦しめられており,他者とのより頻繁な交渉をもとうとしている。研究IIでは,研究Iの結果より示唆された心配性者の心理的特性に関する仮説を,質問紙法及び投影法により,検証した。その結果,次のような知見が見出された。(1)心配性者は,非心配性者に比し,一般にself-esteemが低い。(2)しかし,他者との優劣に関する領域では,両者に差がない。(3)心配性者は,非心配性者に比し,一般に孤立傾向が強い。(4)この傾向は,男子において著しい。(5)心配性者は,非心配性者に比し,TAT反応において不快感情反応が多い。(6)また,TAT反応において,事象を外的圧力に帰す反応が多い。(7)また,TAT反応において,他者や外界を脅威的なものととらえる反応が多い。(8)また,TAT反応において,事象の予測を悲観的にとらえる反応が多い。(9)しかし,TAT反応における優越欲求反応には,両者に有意な差はない。以上,得られた結果につき,簡単な考察がなされた。
- 1984-12-20
著者
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