高張食塩水の筋内注入による実験的筋痛が最大筋力発揮中の筋疲労の発現に与える影響

概要

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1.健常成人10名を対象として,無侵襲対照条件(CON),生理食塩水(0.9%, 1.0ml; ISO)もしくは高張食塩水(5.45%, 1.0ml; HYP)を上腕二頭筋内への注入前後に短時間(約3秒間)のMVCを遂行させ,MVC値,VA, Mmaxおよび単収縮力を測定した.また,筋内注入後に1分間の持続的MVCを行わせ,課題遂行中の発揮トルク,TMSによるトルクおよび誘発筋電図の変化ならびにEMGrms/Fの変化を解析した.2. VASはISOで30.2mmに,HYPで78.7mmに上昇し,HYPの方がISOよりも有意に高値を示した.また,短時間のMVCでは,HYPはISOに比して有意なMVC値およびVAの低下が認められたが,条件間比較ではMmaxおよび単収縮力に有意な差は認められなかった.3. 60秒間の持続的MVC中,全ての条件(CON, ISO, HYP)で有意な発揮トルクおよびVAの低下ならびに有意なMEP面積の増大およびSPの延長が見られたが,条件間比較では有意な差は認められなかった.全ての条件でEMGrms/Fは筋疲労課題中に有意な変化は認められなかった.4.これらの結果は,持続的MVC中の中枢性および末梢性疲労の発現はHYP注入によって引き起こされるIII・IV群求心性線維活動亢進の影響を受けない可能性を示唆する.
2006-04-01