果菜栽培温度に関する研究(1) : トマト,キウリの育苗における気温,地温の影響について
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概要
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育苗中の気温,地温がトマト及びキウリ苗の発育に及ぼす影響を調査するために,気温・地温を別々に調節できる温床を設け,実験を行った.1. トマト a) トマト苗の初期の生育は. 気温16℃,18℃,20℃,24〜16℃のなかでは20℃が優れ,地温では22℃が最もよく,次いで20℃,18℃,16℃の順となった.しかし,生育が進むにつれて,適温は下がり,高い気温,地温はむしろ生育を阻害した.b)定植時の調査では,低い気温の16℃,18℃で,地上部,地下部重ともに増加した.高い気温の23℃,20℃で育てられた苗は,草丈の割に重量がなく,貧弱な発育をした.地温は20℃で最もよい発育をした.c)気温24〜16℃,地温20℃又は気温16℃,地温20℃,22℃の組み合せの場合に良好な生育をした.気温が比較的低い場合は地温が高く,気温が高い場合は前者よりも低い地温の区が一般に良苗となった.d)気温が昼25℃,夜15℃の変温区は他のいずれの気温よりよい結果が得られたが,地温の変温は,地上部,地下部重を減少させた.e)気温を高くすれば第1花房の開花は早くなる.しかし,花房の着生節位は気温が高い場合に上る.このことは着花部位を下げることが必ずしも,開花を早めるゆえんでないことを示す.f)また気温を高くすると苗が貧弱となるため,初期の収量は少い.気温17℃で早期収量,全収量ともに最も多くなったが,地温の影響はあまり顕著でなかった.2,キウリa)キウリ苗の初期の生育は気温16℃,18℃,22℃,24〜16℃では22℃が優れ,地温では20℃が最もよく,次いで22℃,24℃の順となった.しかし,定植時には,気温18℃と,夜冷気温区が充実した発育をしている.b)地温は根の発達に影響するところが大きく,20℃で最もよい結果を得た.c)気温,地温の組合せで考えると,気温25〜15℃,地温20℃,または気温18℃,地温20℃,気温16℃,地温22℃または24℃程度が苗によく,後の発育にも良好であった.気温が比較的高い場合はむしろ低い地温区の成績がよく,気温の低い場合はこれに比し高い地温区の成績がよい.d)気温の変温はよかったが,地温の変温の影響は顕著でなかった.ただ気温が最も低い16℃区では,地温を変化させることによって,地下部の発達が悪くなった.e)雌花着生は主に気温に影響され,地温の影響は少い.
- 千葉大学の論文
- 1962-12-31
著者
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