一診査医の軌跡 : 診査録を振り返って
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概要
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我が国では,生命保険会社に勤務する医師の数が諸外国に比べて数多い事が特徴の一つであり,しかも大部分が診査業務に携わっている現状である。診査の仕事が長くなると,「自分の診査がどのようになっているのか」,「自分の診査の特徴は?」,「成績は?」等々の疑問が出てくるのも当然であり,会社全体の数字などは発表されるにしても,全体的なものであり,診査と関係した,「個人の顔」は見えて来ない。今回,筆者の入社以来の診査記録(診査従事6.5年,約7000弱)をもとにして,それからの死亡例・死因等について検討し,これらの保険金支払い書類と,診査時の所見とを調べて,診査時の何らかの異常の有無等についても再考してみた。これらからの死亡は55人であった。その結果,次のような事が推測された。(1)死因は日本人の3大死因である「悪性新生物」,「脳血管障害」,「心疾患」の順であった。(2)診査時に,何らかの「告知」や「所見」の有るものが少なくなく,ある程度のチェックは出来ていたようだが,査定に結びつけるのにはかなり困難な例が多かった。(3)事故死亡,自殺もかなり認められたが,死亡までの期間が短い傾向で,自殺例では保険金額の高い傾向が認められた。(4)悪性新生物のチェックは,心疾患や脳血管障害よりも困難であり,保険金額も高額であった。(5)診査時異常所見,有告知例,死亡発生率,早期死亡発生率等の指標で,都会地よりも地方の方が高い傾向が推測された。
- 1995-12-15
著者
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