日本人の職業別寿命調査 : 第三報
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概要
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はじめに 寿命に影響を及ぼす要因を探ることは,保険医学に寄与するものと考えられる。この際特定集団の寿命調査を行なう事も有意義であると考えられ,既に米国メトロポリタン生命によるシリーズものがある。我々は先に,「経営者層の寿命調査について」「衆議院議員の寿命」「内閣閣僚の寿命」を調査・報告してきた。今回は更に「衆・参議員議長,副議長の寿命」を報告するとともに,我が国最初の職業野球チームであり,50年の歴史を有する「読売巨人軍選手の寿命」と,40歳以上のラグビープレーヤーで構成され,世界高齢者ラグビーのパイオニアであり,昭和63年1月に40周年を迎える「不惑倶楽部の寿命」を併せて行なったので報告する。調査対象と方法 議長は衆議院,貴族院,参議院120名の内119名を対象とし,観察期間を入閣年から昭和60年までとした。読売巨人軍は入団者545名中537名を対象とし,同じく加入年から昭和60年までとした。不惑倶楽部は加入年が不明確な者が多かったので,各自の40歳から昭和60年までとした。死亡指数の基とした各年別・各歳別国民死亡率は前回まで使用したものをそのまま使用した。調査結果と考察表1の如く,議長・副議長は国民に比して悪く,特に衆議院議長,貴族院議長が全体を押し下げていた。衆議院議員,内閣閣僚が国民と比較して良好であったので,この結果は意外であった。表2では,巨人軍選手は国民に比較して良好であったが,ポジション別に見ると,投手,内野手が良かった。投手は身体が良いものに多く,選手寿命も短かい所為と考えられる。捕手は国民と差がなかった,この為か米国の職業野球選手の死亡指数と比較すると良くなかった。コーチ・マネージャーは日米共に選手に比較して悪かったが,これも日本の方が良くなかった。表3では,不惑倶楽部会員は職業野球選手と同様な傾向であった。40歳になっても,ラグビーを毎週楽しめると云う事は,肉体的にも恵まれているばかりでなく,職業環境等にも恵まれていると考えられ,また,余暇利用も一般日本人に比較して上手な人が多い事も,寿命を長くしていると言える。
- 1988-01-20
著者
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