培養軟骨細胞におよぼすBMP-2の影響

概要

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骨形成因子(bone morphogenetic protein,以下, BMP)は異所性に骨,軟骨を形成する成長因子として長年,研究が進められてきた。また, BMPはTransforming growth factor-β(TGF-β)スーパーファミリーに属する蛋白質であり,細胞の増殖や分化などに影響を与えている。本研究では, BMP-2が軟骨基質に及ぼす影響を,兎培養軟骨細胞単層培養系を用いてPGの合成および破壊について検討した。また, Interleukin-1α(以下, IL-1α)との相互作用についても検討した。培養軟骨細胞のPG合成はBMP-2の添加により有意に増加した。また,対照としたIL-1αの添加によりPG合成は抑制された。BMP-2とIL-1αを同時に添加すると, IL-1αの単独添加に比べてPG合成は増加した。PG破壊では, BMP-2の単独添加では明らかな変化は認められなかった。また, IL-1αの添加によりPGの破壊は亢進した。BMP-2とIL-1αを同時に添加すると, IL-1αの単独添加に比べてPG破壊は抑制された。以上よりBMP-2は軟骨細胞培養系において単独ではPGの合成を増加させるが, PGの破壊には影響を及ぼさなかった。しかし, IL-1αとの相互作用では軟骨PG代謝に対してBMP-2はIL-1αの作用と拮抗することが確認された。
北里大学の論文
1998-02-28