糖尿病患者の瞳孔に関する研究第2報

概要

論文の詳細を見る
瞳孔の下縁にスリット状の光をあてる事によって起こる瞳孔振動について,視力良好な網膜症を有さない糖尿病患者で,惹起しがたい例があり,その振動周期が延長していることを前報^<6)>で示したが,今回は,マイクロ・コンピューターを用いて,その振動を分析した。その結果,Fourier解析によって求めた周期でも延長を認めた。さらに,速度,振幅を分析すると,正常者では周期が大きな例では振幅が大きくなるが,糖尿病患者では,周期の変化にかかわらず,振幅があまり変化をみせなかった。これらは,末梢を含む遠心路の異常を推定させるものであった。さらに,求心路の関与について,視覚誘発脳波の測定を行なったが,糖尿病患者でP1潜時の延長を認めた。以上より,糖尿病患者の瞳孔異常は,求心路及び遠心路の障害による事が推定された。
北里大学の論文
1983-02-28