免疫抑制薬感受性とクロライドイオン超感受性を示す分裂酵母cis2変異体の単離と解析
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概要
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免疫抑制薬はイムノフィリンと複合体を形成してカルシニューリン活性を阻害する。カルシニューリンは, すべての真核生物において非常に保存されており, 分裂酵母ゲノム中にも1コピーのカルシニューリン遺伝子が存在する。免疫抑制薬を分裂酵母細胞に作用させるとカルシニューリン遺伝子を破壊した場合と同じく, 通常の培地中での増殖には影響を及ぼさないが, 細胞質分裂異常とクロライドイオン超感受性を示した。この結果に基づき, 免疫抑制薬感受性とクロライドイオン超感受性を示すcis (chloride-and-immunosuppressant-sensitive) 変異体の単離を行った。cis2変異体はcis表現型に加えて, 細胞質分裂異常, cell wall integrity 異常を示した。cis2^+遺伝子は2型のミオシン重鎖をコードしていた。cis2^+遺伝子破壊は致死ではなく, 免疫抑制薬感受性も示さなかったが, クロライドイオン超感受性を示した。cis2変異体およびcis2^+遺伝子破壊体のクロライドイオン超感受性は構成的活性を持つカルシニューリンの過剰発現, あるいはPmk1マップキナーゼホスファターゼであるPmp1の過剰発現により抑圧された。以上より, 分裂酵母のクロライドイオン調節機構は, 2型ミオシン重鎖を介してカルシニューリンとPmk1マップキナーゼ経路により拮抗的に調節を受けていることが示唆された。
- 神戸大学の論文
- 2000-03-31
著者
-
杉浦 麗子
神戸大学医学部薬理学教室
-
呂 亜濱
神戸大・院医・ゲノム科学
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杉浦 麗子
近畿大学薬学部分子医療薬科学研究室
-
張 英杰
神戸大学医学部薬理学教室
-
呂 亜濱
神戸大学医学部薬理学教室
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夏 宇杰
神戸大学医学部薬理学教室
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