日米企業のソフトウェア共同開発による知識コミュニティの形成とゆらぎを通した自己組織化プロセス
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概要
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近年、企業を取り囲む経営環境の変化は、市場のグローバル化や生産技術の革新などによって、著しく変動している。また、現代の企業は、そのほとんどが、グローバルな企業間競争の波に巻き込まれている。戦略的提携は、1980年代後半になって、新しい経営戦略の手法として登場した。その手法は、いまや、グローバルに多数の企業によって採用され、その日常業務において実践されている。戦略的提携の適用によって、企業は、過去における様相を一変させた。この分野の研究者は、これまで、経営資源の相互補完性、あるいはリスクの分散を重視してきた。しかし、戦略的提携は、その内部に、複雑性やダイナミズムを内在している。このような戦略的提携の特性としては、(1)戦略性、(2)補完性、(3)対等性・自立性・互恵性、(4)縦やかな連結、(5)複合連結性、(6)組織間学習の発生、を指摘できる。これらの特性を吟味して、戦略的提携による企業経営の変革を解明するための理論的枠組みとして、有機体論的システム論を基礎にした「ゆらぎを通した自己組織化プロセス」に着目する。そこで、本論文においては、戦略的提携そのものを、一つのシステムと見なすことにする。そこでは、相互に提携をした組織体間には、新しく知識コミュニティが形成され、そこでの組織間学習を通して知識創造が行われ、そのことによって価値創造が生起する。これまで、著者は、企業間におけるソフトウェア共同開発事業を中心にした戦略的提携プロセスについて研究をしてきた。本論文では、日本企業NTTと米国企業IBMのソフトウェア共同開発事業という国際戦略的提携を事例として取り上げ、両社間に設立された合弁企業NI+Cという知識コミュニティを通した企業変革を取り上げる。そこでは、ソフトウェア共同開発の成長・発展プロセスを、知識コミュニティにおけるゆらぎを通した自己組織化プロセスとして捉え、検討する。
- 嘉悦大学の論文
- 2004-12-31
著者
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