基礎作業学実習の種目調整の必要性について : 臨床実習と学内実習の連携をめざして
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概要
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作業活動は、作業療法において豊かな可能性を持つ治療手段である。その作業活動の教育効果について調べるために、学生の臨床実習における作業活動の使用状況と使わない場合の理由を調査した。対象は神戸大学医学部保健学科作業療法学専攻(以下本学)の学生で、平成10年(1998年)〜平成14年(2002年)の5年間に、精神および身体障害分野で臨床実習を行った者は、延べ162名(女性127名、男性35名)であった。調査は臨床実習終了直後に、使用した作業活動すべてを記入させ、使わなかった場合はその理由を6つから選択するか、その中にない場合は自由記載する方法で行った。臨床実習中に使用した作業活動のなかで、学内実習で習得した作業活動を使用した割合と学内実習で習得したもの以外の作業活動を使用した割合を比較した場合、x^2検定で検定し、身体障害分野も精神障害分野も学内実習で習得したもの以外の作業活動を使用した割合が有意に多かった(有意水準0.001以下)。学内実習で習得した作業活動を使用しなかった理由は、「適切なものがない」「対象者の受けがよくなかった」などが多かった。臨床実習中に使用した作業活動の中で学内で習得した作業活動以外を使用している点や、使用しなかった理由として「適切なものがない」「対象者の受けがよくなかった」が多くあがっていることは、作業学実習の種目が現時点の治療手段として相応しくないものも含まれることを示唆している。基礎作業療法学の教育の実習種目は、日本での作業療法教育が始まった頃から引き継がれてきたものである。臨床現場の作業療法士は、学校で習ったもの以外に使用頻度が高い作業活動がいくつかあり、それらについては学校教育で教えたほうがよいと考えている。今後、本学の臨床実習指導者にも同様な調査し、これをもとに基礎作業学実習の種目の調整を行い、臨床に有用なカリキュラム内容を実施していきたい。
- 神戸大学の論文
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