在宅における床面素材が高齢者用車いす始動特性におよぼす影響

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高齢者用車いすが在宅床面素材によってどのような影響を受けるのかを調べるため、特性の異なる車いす7台を用い、6種の床面で始動力を測定した。その結果、床面の種類、車いすの種類に有意な差を認めたため、さらに各床面で最も軽く、または重くなる車いすの構成要因を分析した。フローリンクとパイルカーペットでは、主輪空気圧を高めたものが軽く(p<0.01)なった。畳ではエアーキャスター付き車いすが軽く(p<0.01)、ソリットキャスターと主輪の空気圧を高めたものが最も重く(p<0.01)なった。畳にカーベットを敷いた床面では、ソリットキャスターと主輪の空気圧を高めたものが最も重く(p<0.01)なった。敷居や戸当段差では、81〜252Nと他の床面に比べて全ての車いすが重く(p<0.01)なったが、その中でもエアーキャスターを装備する車いすは軽く(p<0.01)なった。このことから、床面の違いによって車いすの始動力は大きく影響を受け、硬い床面で軽く、柔らかな床面で始動力は重くなり、病院や施設で軽く動く車いすが在宅では同じ特性とならないことが明確となった。使用環境により車いすの構造や部品選択基準が異なることが示唆された。今回の研究により、住環境の床面条件に合わせた車いす構成要素の選択が重要であると考えられた。

在宅における床面素材が高齢者用車いす始動特性におよぼす影響

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