息子と恋人 : 暗闇における原初的意識、幼児的心性と認識の定点としての自意識について
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概要
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G. Chaucer の文学において、人間の性は大らかに享受された。しかし、近代文明が始まる Renaissance と共に、精神や意識、とりわけ性病に対する意識で性に対する大らかさは消失した。この過程で Puritanism と産業主義道徳は拍車をかけた。二十世紀初頭のD. H. Lawrence 作Sons and Lovers は Victoria 朝の道徳、文化が強く反映された世界において、主人公 Paul が三人の女性達、母、恋人 Miriam と Clara の関係で成長する過程を描いたものである。Paul の特異性として、原初的意識、幼児的心性、自意識が挙げられる。原初的意識は父の資質を受け継いだものであり、幼児的心性は成熟の遅れから生じ、自意識は母との関係から生じたものである。Paul は両性関係において原初的意識、幼児的心性より生の根源状態に到達し、定点としての自意識で彼の生が宇宙の生と一体であることを認識する。一方、宇宙の生と一体の状態において、通常の両性関係は成立不可能であることを認識する。
著者
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