息子と恋人 : 「第二の子宮」と原初意識について
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概要
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人間と動物の大きな相違として誕生後の長い成長期と文化の有無が挙げられる。短い期間で成長する動物と比較して、人は文化のなかで譬えていえば「第二の子宮」である幼児期、少年期を経て青年へと至る。D. H. Lawrence の半自叙伝的小説 Sons and Lovers は幼児的心性をもつ少年 Paul が母親との関係、恋人となる精神的な女性 Miriam、官能的な女性 Clara との交わりにおいて成長する過程を描いている。しかしPaulは幼児的心性に加えて、炭坑夫である父の資質-意識下の暗い本能的、動物的な資質を受け継いでいる。Lawrence はこの作品を「イギリスの若者達の悲劇」と呼んだ。本論は Paul と暗闇、Paul の意識下について分析し、原初意識 (Primal Consciousness) を考察することで「イギリスの若者達の悲劇」について解明する。
著者
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