北海道内の学校生徒数、勤務年数、地域別にみた養護教諭の意識調査

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現在、いじめや不登校などへの対応については、特別多くの期待が保健室に勤務する養護教諭に寄せられているのが現状である。その傾向は、養護教諭を対象とした制度改正にも現れている。平成8年度から始まった保健室相談活動研修事業、および平成9年度から始まった養護教員経験者研修はその一例である。これらの勤きは、もっぱら養護教諭個人の変革を迫るような「養護教諭の資質の向上」を目的とするものである。研修をはじめ、新しい制度をより効果的に運用するためには、従来指摘されてきたような、「事務処理作業が多くて十分な相談活動ができない」とか、「担任との連係が困難である」といった問題がどこに多く見られるのかを特定し、養護教諭が抱えている問題を含め細かく把握し、必要な場所に必要な支援を行うことが重要である。これらの基礎資料を得るために、本研究では、14支庁の行政区と多くの僻地紋が存在する北海道の小中学校を対象に、学校生徒数、養護教諭の勤務年数、地域別に養護教諭が抱えている問題について調査した。結果、養護教諭の抱える問題点が、(1)学校の生徒数、(2)勤務年数、(3)地域、(4)学校種別によって左右されることを示唆するものであることがわかった。養護教諭が相談時間を十分にとれないといった不満を持ち、また、教室に居場所がない、授業に出たくないという理由で保健室に来室する生徒の割合が高いのは生徒数が多い学校である。「他教師からの軽視」や「他教師の理解が必要」という項目は、養護教諭が慢性的に抱えている問題として従来から指摘されてきているが、これは特に経験年数の浅い養護教諭にとって深刻な問題のようである。その他にも、勤務年数によって養護教諭の意識には大きな違いが現れている。保健室登校などの新しい役割に速やかに対応するためには、養護教諭の熱意にまかせ、彼らの好意に甘えているような現状を解消し、各都道府県教育行政機関や学校内の制度的、組織的サポートが必要であると思われる。
2005-10-30

北海道内の学校生徒数、勤務年数、地域別にみた養護教諭の意識調査

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