一般均衡と数理計画 (経済学部50周年記念号)
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概要
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一般均衡理論は19世紀前半に既にCournot 等の競争市場の数学的分析の胎動が有ったが、19世紀後半にEdgeworth、Marshall、Walras、特にフランスのL. Walras(1834-1910)を泰斗として発展したとされるのが通説である。その後20世紀前半に同じローザンヌ学派のPareto 等が付加的な定式化をしたものの、1930年代・1940年代にHicks、Samuelson が学問的な経済学の伝統と数学に依る体系化が有り、von Neumann の数学的な最適成長理論の影響も有って、一般均衡理論の現代的な基礎付けが本格的に為された。20世紀後半はArrow、Debreu、McKenzie 等の貢献で発展してきたが、1950年代・1960年代の完全予見可能性の仮定を置く古典理論と1970年代以降の拡張理論に分けられる。ところで数理計画の分野1980年代後半に、Zhao and Daformos(1991)等は一般均衡理論の標準的な純粋交換のArrow-Debreu モデルに於いて、Walras 法則を或る種の変分不等式(VariationalInequalities)に定式化している。更に、最近John(2000)は連続的微分可能な写像の擬単調性(pseudomonotonicity)、準単調性(quasimonotonicity)は写像の零空間でのヤコビ行列の半負定値及び零点での仮定で特徴付けられる事を示し、その結果をWalras 均衡問題(特に、tatonnement 過程)に応用している。本稿では数理計画の最近の発展を踏まえて、数理計画の立場からの均衡問題の定式化を概観し、最近の話題や考察をも示す。
- 北海道大学の論文
- 2003-12-16
著者
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