現代暗号の数理
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概要
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暗号技術(cryptography)は現代では、大量データの送受等本格的用途に使われる共通鍵暗号と、Diffie and Hellman (1976) に依る非対称鍵暗号を実用化した公開鍵暗号に大別される。前者は従来の暗号の延長ともいえ、近年迄永らく解読されなかったDES に引き続いて NIST が暗号を募集していたが、2000年に Rijndael が新たに連邦政府の正式暗号として採用された他、デジタル放送や携帯電話で使われる暗号も前者に属する。後者は「素因数分解の計算複雑度」に基いた Rivest、Shamir、and Adleman に依るRSA が電子商取引(EC)に爆発的に利用されて以来、電子商取引や電子署名、来たる電子政府の実現等の社会基盤になっている。本稿では暗号の歴史や現状を調べ、後者の公開鍵暗号の内、特にRSA については、その原理、復号化の計算複雑度についてやや詳しく述べ、楕円曲線上の有理点のなす群上では離散対数問題が指数時間アルゴリズムしか知られていないので鍵長を大幅に短縮できる楕円 ElGamal 暗号等やその他の暗号の原理を述べた。これら社会基盤となる公開鍵暗号が数論や代数幾何学等の数学に基いていることは、最近実用化されつつある「絶対に解読できない」量子暗号や、原理的には素因数分解を多項式時間で解く量子コンピュータが量子物理等の物理学に基いていることと併せて、非常に興味深い。
- 2004-12-09
著者
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