Education For All (EFA) のための諸問題 : 開発途上国の教育の現状と課題
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概要
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「万人のための教育(Education For All)」は,1990年にタイで開催された「万人のための世界教育会議」において確認されたイニシアティブで,その目標は教育の平等を達成することにある。これは,2000年の「国連ミレニアム宣言」において他の国際開発目標と統合され,一つの共通枠組としてまとめられた。 こうした国際的動向の背景には,教育にアクセスできない子どもたちが,まだたくさんいることを踏まえている。子どもたちが教育にアクセスできないことは,人権の否定であり,才能や関心を伸ばすことが妨げられることでもある。現状としては,開発途上国の中にはこれらの問題を抱えている国があり,適切な政策的取組によって改善することが期待される。政策的取組にあたっては,どのような子どもたちが不利な立場にいるのかを特定し,その子どもたちに対して優先的に実施するのが有効だと考えられる。そこで,本稿は,不利な立場にいる子どもたちを「フォーカス・グループ」として特定し,その状況と課題について明らかにした。 主なフォーカス・グループは,①女子,②親がいない子ども,③スラム街で働く子ども,④マイノリティの子ども,⑤障がいをもつ子ども,などである。主な現状として,次のようなものがあげられる。①伝統的に,女子は出生時から区別されており,家庭内で軽んぜられている。②親がいない子どもたちは自分で生計を立てなければならず,性的被害や犯罪に巻き込まれている。③都市スラム街の子どもたちも働く必要に迫られており,②と類似する問題を抱えている。④宗教的少数派や少数民族の子どもたちは,多数派を占める人々とは異なる文化的習慣をもつために,不安で保障のない生活を送っている。⑤障がいをもつ子どもは,親からの愛情を期待できないだけでなく,隣人や親類から隠される傾向があり,多くの子どもと同様の社会生活や文化活動などの楽しみを奪われている。 これらの子どもたちは,親が充分な初等教育すら受けていないという困難な状況にもある。そのため,学校での学業達成に要求される知識やスキルが不足している。一般に,子どものよりよい成長には,周囲の手助けが必要であるが,上述したグループは条件の悪い中で生活しており,よりいっそうの配慮がなされるべきである。それぞれの立場で,不利な立場にいる子どもたちの状況を改善し,初等教育が普遍化することに挑んでいくことが重要である。
- 山形大学の論文
- 2006-02-15
著者
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河野 銀子
山形大学地域教育文化学部地域教育学科
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河野 銀子
Faculty of Education, Yamagata University
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Happy Kumar
Graduate School of Education
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