会計基準の設定主体と設定プロセスのあり方に関する一考察 : わが国における現状,動向および課題
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概要
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IASCの組織改革への対応,ならびにわが国企業の会計情報ひいてはわが国の会計制度そのものへの国際的な不信感を払拭するために,わが国における会計基準設定主体の民間機関化が提唱されることとなった。国際的な動向を把握し,また,わが国における議論の理解を助けるために,すでにIASC の組織改革に対応している国(アメリカ,ドイツ,フランス)の現状を概観すると,会計基準の設定主体としては,純粋な民間機関を採用している国,公的機関に一部権限を残しながらも民間機関化されている国,公的機関によって会計基準を設定している国があることが明らかになる。一方,この問題に対するわが国各界(自由民主党,日本公認会計士協会等)の議論を分析することによって,そこに見られる問題点が浮き彫りになる。一連の議論から明らかになったのは,それぞれの議論が微妙に異なる構想を抱きながら展開されているということである。これによって,会計基準設定にかかわる透明性や独立性といった要件にも影響が及ぶことになる。より重要な点は,形式的に会計基準設定主体を民間機関化すれば,それでわが国の会計制度やわが国企業の会計情報に対する信頼が回復できるというものではなく,会計基準の設定プロセスはもちろん,設定された基準の運用に当たっての透明性や独立性が実質的に確保されることこそが求められるということである。
- 北海道大学の論文
- 2001-09-11
著者
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