監査論教育のあり方に関する一試論
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概要
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今日,監査制度に対する社会的関心が高まっているが,一方で監査に対する認識・理解は必ずしも十分ではない。その背景として,大学における監査論教育の問題をあげることができる。監査論の教科書や受講者の反応を通じてこれまでの監査論教育のあり方を推定すると,そこに監査人の視点に偏った教育の姿が浮かび上がってくる。にもかかわらず,監査人の視点に立った教育においても,監査人の養成という機能がほとんど果たされていないという現状もある。大学における監査論受講者の大半が,将来,監査報告書の利用者の立場に置かれるであろうと考えれば,監査人の視点よりむしろ監査利用者教育の充実が求められる。利用者の視点から,監査の概念や論理などを説明するのである。他方,社会的な期待に十分対応できるような役割認識や能力,倫理観を備えた監査人を養成するための,より高度な専門教育を別途行うことも必要である。さらには,監査理論の継承・発展を担う人材を養成するための,純粋監査理論教育の場を確保することも重要な観点として考慮されなければならない。
- 北海道大学の論文
- 2001-06-12
著者
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