ミース・ファン・デル・ローエの1930年代初期住宅建築の設計過程における特質(2) : フッベ邸案におけるコンセプト・スケッチおよび透視図スケッチ協働制作の意義
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概要
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本論文はミース・ファン・デル・ローエのフッベ邸(1935年)の設計過程において残されたスケッチを分析することにより、その設計過程の特質を明らかにしようとするものである。設計過程は大きく二段階に分けることができた。第一段階は平面図スケッチを通してのデザインコンセプトの決定過程であり、第二段階は透視図スケッチを通しての空間特性の詳細な決定過程である。平面図スケッチにおいては各空間のレイアウトが検討されており、計6段階に整理できた。そこでは空間構成の大きな変化が認められるが、開放的なレイアウトが次第に外壁の矩形の輪郭に収められていく過程が見出された。また東側面の開口部の配置に着目することにより、東方向への視野がデザイン上、重視されたことが推定された。その東方向の眺望をCAD透視図でシミュレーションすることにより、居間の開放性とプライベートな閉鎖空間が、眺望の微妙なコントロールによって調整されたことが明らかとなった。壁面位置の微妙な調整などの詳細な空間デザインは、ラフな透視図スケッチをいくつか描くことによって、三次元的に、また眺望の検討によって決定されていたことが、試行錯誤を示すスケッチの詳細な分析から確認された。最終段階の透視図スケッチの詳細な分析から、空間構成の枠組みが決定された後、設計助手が定規を用いた線的な透視図を描き、ミースが壁面の素材、家具、庭木や彫刻、また遠景をフリーハンドで描き込み、次第に厳密に決定されていくというプロセスを辿ったことが明らかになった。
- 2002-09-30
著者
-
杉本 俊多
広島大学大学院工学研究科社会環境システム専攻
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杉本 俊多
広島大学大学院
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カスティジョ ファン
広島大学大学院工学研究科環境工学専攻(ドミニカ共和国)
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カスティジョ ファン
広島大学大学院工学研究科環境工学専攻
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