蟻コロニーモデルの設計手法の提案と2つの設計例(数理生物学, <特集>第11回MPSシンポジウム: 複雑系の科学とその応用)
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概要
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蟻は, 局所的情報に基づいて行動する多数の個体間の通信によってコロニー全体で集合現象を示す社会性昆虫として知られる.本稿では初めに, 蟻個体の分化とフェロモン信号の空間分布パターン形成を同時に取り扱う蟻コロニーモデルの設計手法を提唱する.この手法を用いて蟻の信号感受性を操作し, 蟻個体の行動則に様々な構造を導入すると, コロニー全体の分業調整が可能になりモデルの改造が容易になる.その実例として本稿では次の2通りのモデルを設計し, そのダイナミクスを分析・再構成する.まず1番目の応用例として, 蟻個体の道標フェロモン感受性を変えて蟻の行動則に新しいルールを順次付加し, 3種類の採餌行動モデル(非誘引・誘引・不応期モデル)を設計する.採餌行動に際し個々の蟻は探索・輸送・動員のサブタスクの1つに従事する.蟻のサブタスク間配分を調整することにより, 3種類の採餌行動モデルは異なる採餌戦略を示す.なかでも特に蟻が信号感受性を切り替える不応期モデルは, デッドロックを回避する安定な挙動や無駄のない配分調整の結果, つねに最も高い採餌効率を示す.次に2番目の応用例として, 互いに独立な信号を用いてゴミ塚作りと採餌行動の2つのタスクを同時に遂行する分業モデルを設計する.分業モデルの蟻の行動則では, 反応拡散系としてふるまう2つのタスクモジュールが互いに接続されている.この分業モデルは採餌効率を補償するよう両タスク間で弱い相互作用を示す.
- 2006-02-15
著者
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車谷 浩一
独立行政法人産業技術総合研究所情報技術研究部門
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中村 真理
独立行政法人産業技術総合研究所セルエンジニアリング研究部門
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中村 真理
産業技術総合研究所セルエンジニアリング研究センター
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車谷 浩一
独立行政法人産業技術総合研究所
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