原価の配分 : 原価計算の基本構造 その3(守永誠治教授退任記念号)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
原価は,普通行なわれているように,直接に製品やサービスについて計算されるべきではなく,それを生じさせた「活動」に対してまずは集計されるべきであるとして,その「集計」の手続きを詳しく考察した前稿を引き継いで,本稿では,集計された原価の「配分」の問題を取り扱う。すなわち,ひとたび活動に集計された原価は,とくに原価計算制度にあっては,すなわち,原価計算が複式簿記勘定機構と有機的に結合して行なわれる場合には,これをそのまま活動にとどめておくことはもとよりできず,どこかにその行き場を求めなければならない。幸い,活動からは出力が生じている。原価は,そこで,これをこの出力に転嫁し,これに負担させるのが,妥当である。しかも,ひとつの活動からは,普通,さまざまの出力が生じうるから,活動に集計された原価は,これらの出力の間に配分されることを必要とする。いま,これらの出力の例として,当期完成品と期末仕掛品,等級製品,連産品,副産物,作業屑,仕損・減損を挙げることができる。しかし,実際のところ,集計原価のこれらの出力の間への正確な配分は,しばしば非常に困難であり,ために便法が講じられるのをみる。また,直接原価計算や標準原価計算にも,原価の配分を見出すことができる。なお,最後に,原価計算の基本構造に関するわれわれの理解の仕方と,普通一般にみられるそれとを,整理し,比較する。
- 慶應義塾大学の論文
- 1993-02-25
著者
関連論文
- 固定費と変動費との分解基準について
- 「機会」概念の展開--機会収益・機会原価・機会利益・機会損失
- 企業の指導原理と管理会計の理念 (山口操教授退任記念号)
- 原価計算対象と原価集計対象・原価配分対象 : 原価計算の基本構造 その4(清水龍瑩教授退任記念号)
- 原価の配分 : 原価計算の基本構造 その3(守永誠治教授退任記念号)
- 原価の集計 : 原価計算の基本構造その2(野口祐教授退任記念号)
- 原価集計対象 : 原価計算の基本構造その1(関口操教授退任記念号)
- 「成価」概念と成価原価計算 : ひとつの問題提起(會田義雄教授退任記念号)
- 原価計算の対象と方法(和田木松太郎教授追悼号)
- 計画設定プロセスと情報(故山桝忠恕教授 追悼号)
- 原価計算目的の体系化について(峯村信吉教授退任記念号)
- 会計の基本的枠組みに関する一試論(商学部創立25周年記念号(3))
- 原価の一般概念と目的に応じた諸下位概念
- 二変数差異の分析に関する若干の考察
- コントロール・プロセス,コントロール・システム,コントロール情報システム(故小高泰雄名誉教授追悼号)
- 製造間接費差異分析の諸方法の比較検討
- 製造間接費差異分析についての基本的考察(商学部創立10周年記念号)
- 直接原価計算における分解基準と配賦基準
- 原価部門の設定基準について
- 「生産形態と原価計算方法」に関する諸説についての若干の考察
- 生産様式と原価計算形態