原価計算対象と原価集計対象・原価配分対象 : 原価計算の基本構造 その4(清水龍瑩教授退任記念号)
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概要
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ここでは,原価計算の対象が論じられる。論点は,とりわけ,原価計算対象と原価集計対象ならびに原価配分対象との関係である。すなわち,ふつう原価計算対象は,給付(活動,または,活動の結果)あるいはアウトプット(有益な結果)であり,他方,われわれのいう原価集計対象は活動であり,また原価配分対象は出力であって,これら4者の異同が検討される。われわれの理解する出力は,活動から生じるいっさいの結果であり,また活動は,このような出力を生じさせる過程,すなわち,入力を投入してこれを出力に変換し統合していく,しかもそれ自体のうちに留まりうる本質的には内的な働きとしての過程である。このような理解に立てば,アウトプットには,有益でない結果も含まれるべきであり,また給付には,活動が含まれてはならない。給付に含まれるとみられなければならないサービスは,活動の結果でこそあれ,けっして活動そのものではない。サービスは,まさに活動からこそ生み出される,入力の変換,結合の結果として成るひとつの合成出力であり,しかも必ず外に向かって働きかけるひとつの働きなのである。サービスはさらに立ち入って考察されて,結果指向的サービスと過程指向的サービスとが区別され,また仕損サービスがいわれる。
- 慶應義塾大学の論文
- 1994-06-25
著者
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