下大静脈からの連続性進展のない腎細胞癌の転移性右室腫瘍の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は72歳, 女性.8年前左腎細胞癌(pT3bpN0 pMO Stage III A)のため根治的左腎摘除術を施行した.近医の心エコーで右室腫瘍を認め入院した.心エコー, CT, MRI, CAG, 右室腫瘍生検にて腎細胞癌の下大静脈から連続進展のない右室転移と診断した.右室流出路狭窄をきたしたため手術を施行した.手術所見は心室中隔から成長した腫瘍が右室流出路においては肺動脈弁から手前1cmまで浸潤, 流入路では三尖弁の中隔尖と前尖の一部まで浸潤していた.根治的摘除術は不可能のため腫瘍部分切除と肺動脈右室流出路パッチ拡張術を施行した.病理組織診断で腎細胞癌根治的摘除術後の右室転移と確定診断した.術後インターロイキン-2の投与を行った.術後8カ月で施行した心エコーでは右室腫瘍の増大が見られたものの流出路狭窄は認められなかったが, 術後11.5カ月に腫瘍による右室流出路閉塞をきたし死亡した.きわめてまれな左腎癌摘除術後の下大静脈から連続進展のない右室転移症例を経験した.治療は腫瘍部分切除・肺動脈右室流出路パッチ拡張術とインターロイキン-2の投与を行い, 延命効果があったと考えられたが治療の限界も認めざるを得なかった.
- 特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会の論文
- 2005-11-15
著者
関連論文
- 同一強盗事件の被害者で異なった経過をとった2人のストレス障害の事例
- うつ病性昏迷が疑われた孤発性 Creutzfeldt-Jakob 病の1例
- 高齢者に発症した大動脈弁置換術後, Stanford A型急性大動脈解離を保存的に経過観察しえた1例
- 54) 後天的に合併した完全房室ブロックが増悪因子となった心室中隔欠損症の1例(第206回日本循環器学会関東甲信越地方会)
- 12)急性心筋梗塞にステント留置後コレステリン塞栓症を併発し,早期のCHDFとステロイドが著効した1例(第204回日本循環器学会関東甲信越地方会)
- 77) 筋強直性ジストロフィーの刺激伝導障害に対するペースメーカー治療
- 縦隔内循環器官への浸潤, 転移により循環障害をきたした心臓関連悪性疾患に対する外科治療の検討
- 経食道心エコー検査にて左房内壁浸潤を診断できた左房粘液肉腫の1例
- 対角ハーフリング型リードを用いた overlapping biphasic impulses (OLBI) 法による長期遠隔期の心房電圧刺激閾値の検討
- Overlapping Biphasic Impulses (OLBI)法による急性期心房電圧刺激閾値の検討
- ER型救急病院における精神疾患合併例への対応の問題点 (特集 精神科と他科・他職種との連携) -- (救急医療)
- 今月の臨床 心臓血管外科手術後創感染とCRP・WBC・体温の推移
- 今月の話題 Multidetector-row CT(MD CT)による開存性確認後に施行したCABG
- 下大静脈からの連続性進展のない腎細胞癌の転移性右室腫瘍の1例
- カラードップラーエコ-法による僧帽弁閉鎖不全症の重症度判定について : 特に左室造影との対比を中心として : 日本循環器学会第125回関東甲信越地方会
- 大動脈弁狭窄症における SJM Regent 機械弁植え込み後の心臓超音波検査による検討
- 中毒 (特集 ERやICUで必要な薬の「生きた」使い方)
- ER : 新しい救急医療の形態
- さいたま市立病院の経験 (特集 臨床研修病院にERを;ソロ救急医の挑戦) -- (われわれの経験)
- さいたま市立病院における2010年夏の熱中症患者の特徴
- 腹部大動脈瘤術後の人工血管周囲漿液腫による十二指腸閉塞の1例
- VF-050-2 冠動脈バイパス術後大動脈弁狭窄症に対する手術戦略 : 再正中切開アプローチvs Aortic Valve Bypass手術(VF ビデオフォーラム,第113回日本外科学会定期学術集会)