遅発性の下顎前突症を認めた男子症例の分析
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概要
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下顎骨の思春期性最大成長(以下PV : peak velocity)の発現が遅く(平均15歳3カ月), その後の著しい下顎骨過成長により下顎前突症の発現を認めた男子III級症例3例の分析を行った.資料は初診時から顎骨成長終了時まで毎年撮影された側面頭部X線規格写真(縦断資料)である.対照群として男子骨格性III級症例18名の縦断資料を用いた.上顎骨長(Ptm'-A')と下顎骨長(Ar-Pog)を計測して, 対照群の上下顎骨の平均成長曲線および平均成長速度曲線との比較を行なった結果, 本症例3例には以下に示す共通の特徴を認めた.1. 本症例の上顎骨成長は対照群と比較してPVの発現が遅いものの, 成長量には明らかな差を認めなかった.2. 本症例の下顎骨成長はPVの発現が遅く, その後に著しい下顎骨過成長を認めた.3. 下顎骨成長速度曲線より, 本症例の下顎骨成長の終末部に年間成長量が約1mmの平坦部を数年認めた.4. 本症例は下垂体性巨人症・先端巨大症の典型症状を認めなかった.5. 当診療所におけるこのタイプの症例の発現率は男子骨格性III級症例の2.7%であった.矯正臨床上取り扱いが非常に難しい本症例のタイプは, 遅発性下顎前突症と分類して対応することが合理的であると考えられた.
- 日本矯正歯科学会の論文
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