顎関節経頭蓋 X 線規格写真を用いた前歯反対咬合者の機能分析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
切端咬合の採得が可能な前歯反対咬合者について, 機能的要因としての下顎頭の位置的変化を顎関節経頭蓋X線規格写真を用いて調べた.資料は前歯反対咬合者62名(男子29名, 女子33名, 平均年令10歳7カ月)の切端咬合位および咬頭嵌合位の両側の顎関節経頭蓋X線規格写真248枚である.それぞれの患者について, 切端咬合位と咬頭嵌合位の下顎頭位を比較して, 下顎頭移動量と移動方向を計測した結果は以下のとおりである.1. 下顎頭の移動量は, 最小値0 mm, 最大値3.0 mm, 平均値0.50 mmであった.2. 移動方向を計測した結果は, FH平面に対して前下方に平均23.0°であった.3. 下顎頭の移動量により, 資料は4グループに分類された.グループI : 両側の下顎頭がほとんど移動しなかったもの38症例(61.3%)グループII : 両側の下顎頭の移動量が1.0 mm前後のもの10症例(16.1%)グループIII : 片側の下顎頭のみに移動が認められたもの13症例(21.0%)グループIV : 両側の下顎頭が大きな移動量を示したもの1症例(1.6%)4. 暦齢別に比較した結果, 若年者ほど下顎頭の移動量は大きかった.5. ∠ANBと下顎頭の移動量を検討したが, 両者間に関連性は認められなかった.したがって, 切端咬合位の採得可能な前歯反対咬合者といってもその機能的要因は個々の症例で異なることが判明した.経頭蓋顎関節X線規格写真を応用した機能分析は操作が簡便であり, また左右両側下顎頭の分析により, 下顎側方偏位の有無に関する情報が得られるためきわめて有効な分析法であると思われた.
著者
関連論文
- 下顎枝矢状分割法による顎矯正手術後12年を経て開咬を主訴に再来院した1症例
- 粘膜弁変法(小浜法)による口蓋形成術と長期予後
- 顎関節経頭蓋 X 線規格写真を用いた前歯反対咬合者の機能分析
- 顔貌非対称症例に対する整復の試み
- 南幌町における経年的資料にもとづく頭蓋顔面および歯列の成長分析(創立20周年記念誌)
- Chin capによる下顎前突の治験成績
- 10.矯正患者の顎機能の検討 : 最大開口運動を中心として(一般口演,第42回北海道矯正歯科学会大会)
- 9.Cephalo Movie (Quick Time Movie)上での遅発性下顎前突症例の顎頭蓋成長の観察(学術展示,第40回北海道矯正歯科学会大会)
- 3.最大開口位における下顎頭の関節結節に対する前後的位置に関する研究(学術展示,第40回北海道矯正歯科学会大会)
- D特-7 弱い圧下力が歯周病罹患歯の支持歯槽骨に及ぼす影響
- 遅発性の下顎前突症を認めた女子症例の分析
- 遅発性の下顎前突症を認めた男子症例の分析
- 弱い牽引力によるチンキャップの長期使用が下顎頭位に及ぼす影響
- 矯正治療と抜歯