遅発性の下顎前突症を認めた女子症例の分析
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概要
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思春期後期に下顎前突症の発現あるいは著しい悪化を認めた女子III級症例2例の分析を行った.資料は初診時から顎骨成長終了時まで毎年撮影された側面頭部X線規格写真(縦断資料)である.対照群として女子骨格性III級症例12名の9∿18歳までの縦断資料を用いた.対照群の上下顎骨平均成長曲線および平均成長速度曲線との比較を行った結果, 本症例2例には以下の特徴を認めた.1. 本症例の思春期後期における上顎骨成長量は, 症例1は対照群より僅かに小さく, 症例2は対照群とほぼ等値であった.本症例の上顎骨成長終了時期は対照群と明らかな差を認めなかった.2. 一方, 本症例の思春期後期における下顎骨成長量は, 対照群を明らかに上回っていた.さらに, 本症例の下顎骨成長は長期に及び, その結果, 咬合・顎態の悪化が遅くまで続いた.3. 本症例は先端巨大症・下垂体性巨人症の典型症状を認めなかった.4. 当診療所におけるこのタイプの症例の発現率は女子骨格性III級症例の2.5%であった.本症例は思春期後期の顎態・咬合の悪化が著しいという点において, 先に報告した男子遅発性下顎前突症例と類似していた.女子遅発性下顎前突症(delayed progenia)と分類することが合理的であると考えられた.
- 日本矯正歯科学会の論文
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