給付方法の違いによる有床義歯の比較

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本研究の目的は,「保険給付外の有床義歯」と「保険給付による有床義歯」について,主観的および客観的評価を比較することである。岡山県下3市町村在住の高齢者および岡山大学歯学部附属病院外来患者を対象に「保険給付外の有床義歯」を装着している者(私費群:63名)と「保険給付による有床義歯」を装着している者(保険群:200名)に分類した。有床義歯の使用年数,調査時点までの有床義歯作製回数,有床義歯の使用感,摂取可能食品などを聞き取り調査した後,有床義歯,口腔内の診査および咀嚼機能検査(咬合力,咬合接触面積,咬合圧の測定,およびピーナッツの粉砕能力の測定)を行った。残存歯数,年齢,性別をマッチングさせ,各群より50名ずつ抽出し,2群間で調査結果を比較したところ,以下の結果を得た。(1)有床義歯への不満に関する質問項目の全てについて,両群間で回答結果に有意な差は認められなかった。(2)咀嚼機能については,全ての検査で私費群と保険群の間で有意な差はみられなかった。(3)有床義歯の使用年数は,私費群で9.7年,保険群では5.3年と,私費群のほうが有意に長い期間有床義歯を使用していた。(4)粘着性のある食品や大きな剪断力を必要とする食品は,両群ともわずか5〜15%の者が「普通に食べられる」と答えたのみであった。以上より,「保険給付外の有床義歯」と「保険給付による有床義歯」との間で,装着者自身の満足度,補綴装置としての機能の点では有意な差は認められなかった。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
1996-01-30

給付方法の違いによる有床義歯の比較

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