歯周病患者における臨床所見と性格との関連

概要

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炎症性歯周疾患の発生と進行にかかわる要因として,ヒトの心理的ストレスや生活習慣が大きな関連を持つことが知られている。よって,われわれは情動や行動傾向の背景をなす性格特性に着目し,歯周病(歯周炎)患者76名を対象にY-Gテストによる性格分析を行い,臨床所見と性格との関連を多変量解析を用いて分析し,以下の結果を得た。被検者1人あたりのルートプレーニング前後における歯周ポケツトの深さ(平均PD値)を全被検歯,前歯部,臼歯部に分けて目的変数とし,Y-Gテスト性格尺度得点を説明変数とする重回帰分析を行った結果,有意な関連を示した説明変数は,目的変数を全被検歯および前歯部の術前・術後平均PD値とした分析においては「社会的向性」であり,負の標準偏回帰係数を示した。また,臼歯部の術後平均PD値を目的変数とした分析においては,「のんきさ」が有意に負の標準値回帰係数を示した。さらに,相対的治癒率を目的変数としノ院格尺度得点を説明変数とした分析では,「支配性」が有意に負の標阜偏回帰係数を示した。以上の結果より,歯周炎患者においては,「くらい」性格傾向がPD値を大きくし,臼歯部において初期治療後のPD値が改善されない患者は「せわしい」性格傾向が強いと考えられ,相対的治癒率に関しては「従順」性格傾向の強い患者ほど高まることが示唆された。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
1997-07-30

歯周病患者における臨床所見と性格との関連

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