13. 歯間離開の状態が歯周組織に及ぼす影響に関する実験病理学的研究

概要

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隣接歯の歯間離開は食片圧入を惹起し,歯周組織に破壊性変化をもたらすことが知られている。しかし,歯間離開の状態と歯周組織の変化との関連性について病理組織学的に検索した研究は少ない。そこで,ラットの臼歯を用い,隣接歯間を削除して歯間離開状態とし,食片圧入による短期間の歯周組織の変化について病理組織学的検索を行った。実験にはSPF飼育の6週齢S.D.系ラットを用い,下顎左側M1,M2間を厚さ150μmのダイヤモンドディスクにより隣接面を削除して歯間離開状態とした。実験群は150〜200μm削除群と,一部は250〜300μm削除し,比較検討した。対照群は下顎右側を用いた。術後3日,1週について光顕的並びに一部走査電顕的に検索した。試料作製は,実験後,下顎を摘出しホルマリン固定,ソフテックス撮影を行い,M1,M2間の槽間中隔について観察した後,ギ酸脱灰,パラフィン包埋し,近遠心断による連続切片を作製,H-E染色を施し鏡検した。走査電顕試料は下顎骨を摘出,10%次亜塩素酸ナトリウム溶液による軟組織除去後,槽間中隔を近心面から観察するために,M1側の歯槽骨をトリミングした。脱水,臨界点乾燥,金蒸着を施し,JSM-6330F走査電顕にて観察した。対照群はソフテックス写真で,M1,M2間の歯槽頂は高い位置にあった。光顕所見で,歯間乳頭部の構造は明瞭で,槽間中隔頂は平滑でやや丸みを有し,側面ではM1側に軽度の生理的吸収がみられた。150〜200μm削除群では,術後3日例のソフテックス写真で,歯槽頂は対照群と同様高い位置にあった。光顕所見で歯間乳頭部の形態は保たれているが,細胞成分などは不明瞭で凝固壊死の状態を呈していた。歯槽頂は対照群と類似していたが,やや下方では破骨細胞が多数出現し,病的な歯槽骨吸収がみられた。術後1週例では,ソフテックス写真で歯槽頂の低下がみられた。光顕所見では,歯間乳頭部に肉芽組織の形成を伴う潰瘍を形成し,歯槽頂は陥凹し,所々で破骨細胞による骨吸収が進行していた。走査電顕所見においても,歯槽頂の低下が明らかで,側面の構造も鋸歯状で,無数の吸収窩が存在していた。これに対し250〜300μm削除群の術後1週例では,歯間乳頭部が凝固壊死に陥り,槽間中隔頂の位置や形態には変化が見られず,150〜200μm削除群の3日例と類似していた。歯槽頂のやや下方では近遠心側から骨吸収がみられ,また根分岐部など広い範囲で骨吸収が生じていた。以上のことから,歯間離開は短期間に歯周組織に種々の障害をもたらし,歯間離開の程度により及ぼす影響も異なることが示唆された。
2001-12-30

13. 歯間離開の状態が歯周組織に及ぼす影響に関する実験病理学的研究

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